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中禅寺湖は景色を楽しむんだよ。
景色を見ろ。景色を。湖と山。そして紅葉。
この三つを見るんだ。
そう言われてもねえ。
湯ノ湖とどう違うって言うんですか。
大差ないじゃありませんか。
分かりませんよ。
旅は道連れと言うがグループ旅行の難点は意見の食い違いである。
土壇場で予定を覆され連れてこられたのは中禅寺湖。
場んでっとさんは不満が勃発した。
■感想
山だ!山がいいんだ!
なぜハイキングコースから外れた!
なりゆきで中禅寺湖に来てしまった場んでっとさんは憤っていた。
中禅寺湖周辺はぱっと見て一周できる距離ではない。
バス停付近からの一周は代り映えのない景色が続く。
何が楽しいのだ。
中禅寺湖って何だ。
まったく知らない。
知らないから興味もない。
しかし来てしまったからには観光せねばならない。
全力を出さねばならない。
運動させろい。
■ハイキングの代わりにスワンちゃんを漕ぐことにした
中禅寺湖観光する覚悟を決めた。
とりあえずアドレナリンを出す。
アドレナリンを出せば憤怒は解決する。
ドーパミンを発散して脳を揺さぶるのだ。
中禅寺湖のほとりでボート営業している。
スワン30分1500円。三人まで乗船可能。
同行者と
「一度も乗ったことがない手漕ぎ式ボートはいかがですか?」
と話し合った結果、
「いやだ」と激しく拒絶された。
転覆しない、確実に前に進む、安全をモットーにスワンちゃんに乗ることになった。
スワンちゃん可愛いじゃねえか。
ライドオン。
目標設定、対岸に接着。
GOGOGO!!!
対岸まで目測約2㎞。
いけるいけるいける!!
ガコンガコンガコンと漕ぎまくる。
アドレナリンがぴゅーぴゅー出る。
がははははは。
他のスワンどもをごぼう抜きにしてやれ!!
漕げ焦げ!!はいどーはいどー!!
進めスワン!!!
場んでっとさんのご機嫌は元通りである。
が、途中でペダルを一人に任せられる。
「ちょっと待て。なぜ漕がない。200㎏強を一人で漕げというのですか?」
「景色楽しみなさい。ほら。ほら。ほらほらほら」
横波ざっぷーん。
スワンちゃんは波の影響が大きく、すぐ揺らぐ。
揺らぐと漕いでも止まる。
虚弱だぜスワンちゃん。
「あー…」
言われて周囲を見ると確かに景色が良い。
場んでっとさんは目標の対岸しか見ていなかった。
見ているものがずいぶんと違うようだった。
ペダルを逆漕ぎするとバックする。
ペダルは連動するので場んでっとさんが前に進もうとしても逆向きに力を入れられると膠着して進みは止まるのだ。
果たして力入れすぎたら壊れたりするんだろうか。
ぎり。ぎりぎりぎり。
「対岸にはいかないよ」
コントロールを御されて完全に詰んだ。
ペダラーは心を一つにしないと前にも後ろにも進めない。
場んでっとさんは聞き分けのいい大人である。
ここは素直に中禅寺湖鑑賞に徹することにした。
「わかった」
湖上はほぼ無音である。
さっきまでペダルを漕ぐガコンガコンガコン音で騒がしかったというのに他のスワンの音も聞こえてこない。
勝手に競争していたスワンにみるみる追い越され、彼らは対岸に到達しようとしていた。
悔しい。悔しいが、まあいいだろう。
今回がダメでも次がある。
旅とはそういうものだ。
時間制限があるのでくるりと反転。
男体山の紅葉が美しい。
岸にいたのではお目にかかれない光景だった。
「ほおっ…」
やるやないか、中禅寺湖。
360度のパノラマ。
なかなかに美しい景色だ。
予想外に大満足だった。
※この観光スポットの感想クチコミは各投稿者が経験した体験を基にした個人的な意見であり、【たびかん編集部】のものではありません。