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世界に一つだけの旅エピソード

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coniさん(男性)の旅エピソード [2015-06-03 16:39:09]
今の仕事は社会に出て29年で3社目だけど、最初の銀行員を除くあとの2つは兎に角やたら出張が多く新幹線には2,500回以上乗った。前職では海外単身赴任も数回、今の会社でも海外出張で何度も酷い目に合った。マレーシアから関空に着いたのが神戸淡路震災の40分後で、交通網が何も動かない中で関空から滋賀まで帰ったり、ドイツ行きの乗り継ぎにアムステルダムで乗り遅れて、真冬に暖房の無い空港ロビーのベンチで一晩寝たり・・・。でも、もちろん楽しかった出張も有るわけで、生涯で一番良かった思い出を書きます。
ドイツ/イギリス/フランスの代理店へ1週間で行って全部と打ち合わせするスケジュール。関空からフランクフルト経由でシュツッツガルトへ14時間で、着いたら即会議。夜は一緒に会食してホテルへ。早朝に起きて外を見ると・・・そのホテルは森の中の湖畔に佇む別荘のようだった。11月に湖面は凍り、幻想的な静けさ。でも直ぐに出発して空港へ。ドイツ滞在22時間でイギリスへ。
昼食は機内食で済ます予定だったが、ここで問題。俺は数百回乗っても未だに飛行機が怖いので、飛ぶ前に寝て/着陸したら起きることにしてる。っで、機内食を食いそびれて昼食抜き。この時初めてヒースロー空港に降りたが、一番感心したのが“一つも漢字やハングルの広告看板が無い”こと。今や世界中どこの主要空港でも漢字(日本語含む)やハングルの広告看板があるが、一つも無いのは逆に新鮮だった。直ぐにレンタカーで移動してかなーり田舎へ。着いたホテルは・・・マジでハリーポッター出てくるかとオモタ。尖がり屋根がいくつも連なる建屋に入ると迷路のような回廊を部屋まで案内されるが、廊下の壁にはズラーッと人物絵画と鏡。絵が語りかけてきそうで、夜は怖くて一人で歩けません・・・。初日の夜は同行者とホテルのレストランで晩飯済ませたが、マスターがビールの試飲をしろと言う。出てきた試飲3種類は・・・3杯のデカイジョッキにナミナミと注がれてた。ぬるいビールを試してチョイス、結果出てきたのは3種類全部。あの試飲には何の意味が・・・。
翌日は打ち合わせに向かい、そのあと田舎街の観光へ。西暦1,200年頃建てられた教会には、数百年前のステンドグラスがそのまま使われ本物の美しさに感激した。夜は高級レストランでの会食となったが、日本円で6,000円もする白身魚のステーキはナイフも入らないゴム草履みたいで、イギリスの飯のマズさは聞きしに勝ると納得・・・。
翌日イギリス南部の空港からマルセイユへ。日本の国内線のような感覚で都市から都市へぴょんぴょん飛ぶが、チケットで座席を見ると「FREE」の文字。全席自由席って国際線で自由席なの?離陸間際に乗りこんだら空席が見当たらない。FREEって立って乗れってか?と思ったら、向こうの方からイギリス人のオバチャンが手招きしてる。行くと真ん中の席が1つ空いてた。お礼を言って入れてもらったが/オバちゃんデカくて狭いんですけど・・・。再び機内食を食い損ねて昼飯抜きだしー。
マルセイユ空港のイミグレは1列しかない狭い場所で、機内で寝てたので入国申請書をもらっておらず/危うく入国を拒否られそうに。同行してたデンマーク人が一緒に来いとカウンターに呼ぶので行くと、説明して纏めてイミグレ通してくれた。イミグレを複数名で一度に通過したのは後にも先にもこの一度切り。
レンタカーで移動に入り真っ直ぐ代理店で打ち合わせ。終わったら少し夜のマルセイユを観光したが、通りの並木の太さに圧倒された。晩飯は隣が歴史あるシアターで/レストランも体育館ほどの大きさ。欧州の主な代理店を集めて会食したので9カ国語が飛び交うが、基本みんな英語は話せる。流石本場のフランス料理は旨かったが、コースはお任せではなく/自分で順次オーダーしていく。俺は欧州人ほど食えないので、既に前菜で腹が膨れてメインディッシュに敢えてポテトスープを選んだら、周りに「コース料理も知らんのか」と鼻で笑われた・・・。
終わるとデンマーク人の別荘へ。マルセイユとニースの中間にある崖にへばりついた小さな街だが、150年以上前に建てられた石造りの細高い建物が林立してる。最も高い建物は地上から70mもあるが間口は日本の住宅と変わらない狭さ。入口を入ると石の急な階段をドンドン登る。途中にもドアがあるが、それは階下の他の家の玄関らしく/ひたすら上へ。ようやく目指す部屋の玄関を入ると、まずは結構広いリビングとキッチン、奥には寝室と外にはテラスが。夜だったのでピザで晩飯を済ませると、寝室に案内してくれるとのこと。奥かと思えば、リビング内の階段から上へ。途中に部屋があって/さらに上へも階段が。つまり玄関の中で3階建てになっており、3ベッドルーム/2シャワールーム/3トイレの構成。外から見ると判らないが、下の家も全て3階建てとのことで4軒なら12階建てということになり、道理で細高くなるわけだ。
この出張のハイライトは翌日。朝から仕事の纏めをするとのことで朝食のあと、テラスにテーブルとイスを用意。ここで思い出して欲しいのはテラスの高さ、地上60〜70mにあるのでスゴイ絶景。近くにはワイン用の葡萄畑が広がり/向こうには遠く地中海が見える。プロバンスの太陽がいっぱいで/流石に会議には眩しいと見るや持ち主が壁際のスイッチを押すと、電動のサンシェードがウィーンと出てきた。さらにテーブルにはチーズやサラミの皿とワインボトルにグラスを配置して、ようやく各自がノートPCを開いて会議開始。いや、チーズをあてにワイングラス持って/地中海の太陽と絶景見ながら会議って出来る?でも欧州人は普通に会議を進めてる。それまでもドイツでのプレゼンは高級ホテルのホールを借り切って/ワインや軽食を用意した立食スタイルが普通だったし、代理店の社内にはスタンドバーがあったりで、日本とのビジネススタイルの違いを実感してたが、この高層テラスでの会議は俺の中では“格別の仕事”の記憶になった。
この日の午後から仕事はoffで、小さ目のポリタンク持って(後述)デンマーク人の案内で街の散策。少し離れた場所から街を見ると、本当に切り取って絵ハガキにそのまま貼れる美しさ。世界遺産じゃなくても普通にこんな景色があるんだねー。街中に戻ると昔自動車のCMで見た“狭くて急な坂の石畳”がアチコチに。景観のためじゃなく/今も生活のために使われ維持されてる。街の中央には1つだけある教会が。これまた築数百年とのこと。
デンマーク人が仲良くなったというローカルの方の自宅にお邪魔すると、地下への階段の横にはガラス張りのショーケースに日本の扇子などが飾ってあった。その地下室とは、昔地上で女子が葡萄を踏み/穴を通って地下に滴り落ち/それをワインにしていたという作業場。天井には今でも岩に開けた穴が残り、天然のワインセラーとなった今はチョースッゴイ年代物のワインがズラリ。オーナーの女性がヒョイと持って「これは1860年物でね」って、オイオイ怖いから止めてくだせー。
その日の晩飯は皆でエビリゾットを作ることになってたので、街で唯一の市場へ。昔懐かしい魚屋の雰囲気。親指より一回り大きな丸ごとのエビと粉チーズをドサーッと購入。その足で立ち寄ったのは天然の洞窟をそのまま活かしたワインショップ。中には背丈よりも高い寸胴のガソリンタンクが鎮座し、デンマーク人がポリタンクを店のオバちゃんに渡すので燃料でも買うのかと思った。ガソリン給油のノズルをポリタンクに突っ込んでハンドル握ると・・・出てきたのはワイン。そう、でかいタンクにはワインが満タン入っており/地元でのワインの買い方はポリタンクでリッター買いなのだ(そのくらいは水のように飲んでしまうので)。オバちゃんは滅多に来ない日本人に「ジャポネ!ジャポネ!」と喜んでくれたが、そのためポリタンクは見てない。下を見ると・・・床はポリタンクから溢れ出たワインでワイン浸し。俺が慌てて「オバちゃん、溢れてる!溢れてる!」と教えるまで延々出しっ放しだったからドエライ量が床中に。オバちゃんは全く意に介さずしゃべりながら(残念ながら俺にフランス語は理解不能)全部モップで店の外へ押し流し、「ジャポネー♪」と言いながら店の奥へ案内してくれた。そこは洞窟そのままのワインセラーで、これまた高そうなボトルがズラリ。オバちゃんは古いボトルを手に取り/無造作にコルクを開け、グラスに注いで試飲しろと。飲むと日本人の俺でもむふ〜と声が漏れる旨さ。ボトルのラベルに1950何年とか書いてるし・・・。オバちゃんが出してくれたチーズも食べながら試飲してると、さらに奥から別のボトルのコルクを開けながら持ってきてさらに飲めと。ジェスチャーで「いやいや、もういいです」って必死で制してお支払いに。ポリタンク(多分10Lほど)が日本円で2,000円行ってない。オイオイ、どう考えても床に溢れた分と/試飲の方が高いやろ・・・。
十分お礼を言って帰宅。分担して料理することになったが、デンマーク人は俺が不器用と判断したらしく「エビの殻を全部剝いてくれ」。判ったと始めたが、ボイルして熱々のエビは約100匹。いやー、マジまいったです・・・。
俺が殻を剝いてる間にリゾット製作はドンドン進み、全部剝き終わるころにはコンソメスープの中で丁度コメが煮えてきた。粉チーズとエビをドバッと入れて暫く馴染ませると出来上がり。お皿に入れて刻みバジルを振りかけるとスバラシイ香りがー。
折角なのでテラスに持ち出し、今度は南仏の田舎の夜景を楽しみながら買ったワインと一緒に食べました。ちょーマイウーです。
食後もテラスでまったり〜、1km近く向こうのピッチで草サッカーやってる声が聞こえてくる。そのくらい静か。11月なのにセーター1枚で十分で、数日前に見たドイツの池の氷結がウソみたい。教会の鐘が教える時間でディナーを終えた。
翌日、マルセイユ空港からフランクフルト経由で成田に帰国。乗り継ぎの伊丹行きが満席なのは知ってたけど、急いでカウンターへ行って聞くと「羽田なら伊丹行きが残っています」。その場で羽田〜伊丹のチケット買って、リムジンバスで成田から羽田へ移動。途中の渋滞で遅れたが、羽田へ着いたら急いでカウンターへ行くと「伊丹行きはもう飛びました」ってふざけるな!フランクフルトから同じ日本の航空会社に乗って戻ったのに、どーいうことよ。「関空行きならまだ取れます」なので仕方なくさらに遅い関空行きに買い替え。関空に着いたら23時、特急はるかに乗ったが関空から滋賀は遠いんだぜーで、自宅に帰れたのは午前2時。翌日定時の8時過ぎに出勤したけど、睡眠不足と時差ボケで午前中の経営会議は意識が飛んでた・・・。
フランスの代理店が土産に持たせてくれたワインは、赤でも白でもなく「金」。普通のワインは生から仕込むが、このワインは干して味を凝縮してから仕込むので、同じ量の葡萄から1/3しか作れないらしい。しかも使える葡萄が取れる場所もイベリア半島の一部とプロバンスの一部だけだと。飲むと・・・うわー濃厚ー。これはヤバいです。でも日本では手に入らないんだよねー。
帰国後に日本国内で酷い目に合ったが、あの南仏での2泊は、俺の生涯の宝物ですー。




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